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カフェや畑に診療所も!精神障害のある人たちの地域活動拠点「べてるの家」を紹介します

こんにちは!
どうも、どうもー!
また会いましたね!

東京から遠く離れた北海道の浦河町という初めての場所にもかかわらず、行く先々でそう声をかけてもらいました。出会った人の多くは統合失調症や双極性障害などの精神疾患がある人たちです。

実はこの場所を訪れる前、精神疾患のある人たちとどんなふうにコミュニケーションが取れるのだろうと、私は少しだけ不安がありました。実際訪れてみると…ニコニコと話しかけてくれる人、体調が悪そうな人、シャイな人、寝ている人、サボっている人など、とにかく色々な人がいました(笑)

自然体な彼らと接するうちに、私も自然体でいられるようになり、気づけばすっかりこの場所が大好きになってしまったんです。

”この場所”とは、精神障害などがある人たちの地域活動拠点「べてるの家」のこと。2018年の夏、私たちsoarは精神障害などがある人たちの地域活動拠点べてるの家に取材に行ってきました。

1日目は年に1回の「べてるまつり」に参加し、統合失調症の症状の一つでもある幻覚や幻聴を、あえて発表して笑い飛ばし、面白かった経験を表彰する「幻覚妄想大会」などを楽しみました。2日目はべてるの家の名物でもある当事者研究を、浦河に訪れた私たちが実際に体験できるワークショップに参加。そして3日目は、べてるメンバー利用しているべてるの家や近辺に設けている拠点を見学することができました。それぞれの様子は記事でも紹介しているのでぜひご覧ください!

“困りごと”を周囲と一緒に研究し語り合う。べてるの家の「当事者研究」体験プログラムに参加してきました!

テーマは「爆発と金欠」!?病気を仲間とともに研究する、べてるの家の「当事者研究」を見学しました

盛りだくさんに楽しんだ今回の滞在。この記事ではまだ伝えきれていないべてるの家の隅々の様子や、浦河町で出会った人たちのことを紹介したいと思います!

町づくりのひとつでもある「カフェぶらぶら」

こちらはべてるの家がある浦河町の大通り。整備された街並みがとてもきれいでした。町の中心地でもあるこの通り沿いにある「カフェぶらぶら」は、べてるの家の活動拠点の一つでもあります。

働いているのはもちろん、べてるの家のメンバーたち。地域の人たちなど誰でも来ることができるカフェぶらぶらは、べてるの家の町づくりの取り組みでもあるのです。

挫折じゃないさ、左折さ。ちょっと寄り道がいい道かも。

足を一歩踏み入れるとそんな名言が書かれたボードも置かれていました。温かみのある木材と、一部土壁も使用しているというこだわりの店内は、とっても過ごしやすそう。

べてるまつりの日は、参加者のランチもこの場所で振舞われました。1年で最も人が集まるというまつりの日だけあって、店内はとっても忙しそう。そんな中私たちもお昼ご飯をいただきました。

メニューはハヤシライスです。そしてなんと添えられたにんじんは、目と口がついています!これはべてるの家で「幻聴さん」と呼んでいるキャラクターの形。統合失調症の症状のひとつである幻聴を、親しみのあるキャラクターに置き換えてそう呼んでいるのです。

他にも「幻聴サンデー」という名の気になるメニューがあったので、soar取材チームでも頼んでみました。

こちらも幻聴さんの形のクッキーが添えられた可愛らしいパフェでした。

店内ではべてるの家のメンバーが袋詰めをしている昆布や、手作りの織物、刺繍、幻聴さんの形のストラップなども販売。べてるメンバーの写真も飾られていて、ここに来ればべてるの家の空気が存分に味わえるはずです!

べてるの家のメンバーがいつも利用している食堂へ

3日目にはべてるの家のメンバーがいつも食べているとい場所で、お昼ご飯をいただくことができました。その名も「おけいちゃん食堂」。当事者研究などを行うスペースもある「べてるセミナーハウス」内にあり、いつも働くメンバーたちに食事提供を行なっている場所です。

べてるまつりに訪れた参加者たちと、べてるの家メンバーが自然と混ざり合いながらのお食事タイム。この日のメニューは浦河町のソウルフードともいわれる「かつめし」でした。

甘めのタレがかかっていて、ご飯との間に海苔が隠れているのがかつめしの特徴なのだとか。浦河の味、とっても美味しくいただきました!


べてるメンバーの食事にも使われる野菜を育てる「ノア」

就労継続支援B型を行う事業所「ノア」の見学もしました。ノアは新鮮組という、農産事業、リサイクルなどを行う取り組みの拠点です。新鮮組では具体的には、べてるの各拠点や住居のゴミの回収とゴミ処理場への搬入や、メンバーの引越しや清掃の手伝いなども行います。

この日の見学ではノアで育てているという野菜も見せてもらいました!

じゃがいも、ねぎ、ズッキーニ、ブロッコリー、トマトなど様々な野菜を育てています。これらの野菜はべてるの家の食事にも使われているそう。

私たちもここで取れた野菜を使ったピザをご馳走になりました!好きな野菜を盛り付けて、なんとピザ窯で焼いてもらいます。

こんなに綺麗な焼き上がり!浦河の広大な美しい土地で育った野菜たちは、味が濃くてとっても美味しかったです。

地域に根差した精神科クリニック「浦河ひがし町診療所」

続いて紹介するのは、もともとは浦河赤十字病院精神科に勤務していて、べてるの家立ち上げ時のメンバーでもある川村敏明先生が開院したた精神科クリニック「浦河ひがし町診療所」です。

ここでは診療のほかに、デイケアとショートケア・週3回のナイトケアなどを行なっています。中に入ってみると、素敵な絵が飾られていたり、薪ストーブがあったり、おしゃれな家具が並んでいたりと従来の「医療」の雰囲気とは違うものを感じます。

2階に上がると、“誰でも引きこもって良い”という小さな部屋や、ワークショップや当事者研究をする部屋などいくつものスペースもありました。

さらにこの日は月に1回開催しているというカフェ開催の日で、デイケアに通うメンバーのみなさんがコーヒーや紅茶などを用意してくれていました。

クリニックを利用しない人であっても、誰でも利用できるカフェの日。まだはじめたばかりだそうですが、「精神科クリニック」という閉ざされてしまいがちな空間を、どんどんと地域に開いていきたいという考えのもと開催しています。

デイケアのメンバーたちは仲が良く、お互いの症状についての冗談を言い合ったりと、終始クリニック内は笑い声に包まれていました。

浦河赤十字病院に通院後、こちらの診療所に通うようになったという順毛めぐみさんは、7年半もの間家に引きこもっていた経験もあるのだそう。ここに通うようになり、はじめは周囲と喋らず一人でいることもありましたが、今はすっかりムードメーカーです!

一人暮らしをはじめてから「つい飲み食いしちゃう」ということで、“浪費家”になってしまった順毛さん。

すごい金欠だよね!
どうするのかミーティングで考えないと!

などなど周囲からは強烈なツッコミも。

ひがし町診療所のデイケアのプログラムは、なんと利用者のみなさんがご自身で考えています。

自分たちでどうにかしなさい。

川村先生のそんな方針から、今は毎月変わるリーダーを中心に、プログラムを話し合っているのです。メンバーの食事を作ったり、当事者ミーティングをしたり、音楽やアート、アロマの時間を設けたり。「ラーメンツアー」と称してなんとラーメンを食べにいくプログラムもあるそうです!

今月のリーダーは写真右の村木凌さん、副リーダーは写真左の阿部義毅さん。

阿部さん:僕はもともとは母と喧嘩して、間を置くためにここきてすっきりしてたんですけど。今は先生が母も僕もみてくれていて、とても安定しています。今大変そうなメンバーもいるけど、いるだけで場が明るくなったり安心するような人柄だったりするから。それはそれでいいなって。

仲間意識が芽生えたからか、すっかり仲良くなったという村木さんと阿部さん。時に励まし合いながら協力して、今月のプログラムを進めているといいます。


べてるの家のメンバーたち

今回べてるの家に訪れて、本当にたくさんの出会いがありました。全員を紹介することができないのが残念ですが、べてるメンバーの方々を一部ここで紹介させてください!

まずはべてるの家のスタッフさん、上山博彰さん。上山さんはべてるメンバーの日常をサポートする仕事をしています。

日常生活といってもべてるメンバーの暮らしは波乱万丈!真夜中に今警察にいるというメンバーから電話がかかってきて「どうしたの?」と尋ねると、「ジュースが飲みたい」と言われてさすがに驚いて固まってしまった…といったエピソードも教えてくれました。

上山さん:でも僕自身が助けてもらっているところもあって。べてるメンバーに「なんか疲れた顔してるよ」と声をかけてもらって、自分が精神的に参っていることに気付かせてもらったりもするんです。

べてるの家では自己病名といって、自分で病気に名前をつけている人がいます。この方は自己病名が「統合失調症基本頑張りタイプ 信用回復不安型」だという池松靖博さん。

もともとは自衛隊の仕事をしていたという池松さんですが、“頑張りタイプ”の名前のとおり頑張り屋さんで仕事に励んでいた最中、いじめが原因で病気になってしまったといいます。ふとしたことをきっかけに自信がなくなったり、不安になったりしてしまうことから、この自己病名にしたのだと教えてくれました。今はべてるの家の広報に関わる仕事をしたり、自慢の声を生かして読み上げの仕事をしたりと、大活躍中です!

サトウシンゴさんは、べてるまつりのメインコンテンツ「幻覚&妄想大会」で、同じような立場にある仲間がともに助け合うことを表彰する「ピアサポート賞」を獲得。今年でべてるの家に来て約15年ほどだそう。今はペットの猫ハナとともに、症状に苦しむ仲間を時に助けたりとピアサポートにも励みながら暮らしています。

今回のべてるまつりの準備ではテーマ決めにも参加。他にもべてるの家の事業の一つである昆布の袋詰めの仕事では、べてるまつりのためにいつもよりはるかに多い1000袋にもおよぶ数の昆布を2~3ヶ月かけて準備したりと、大変なこともありながら乗り切ったのだと教えてくれました。

soar取材チームでべてるの家に上がらせてもらったときに出会ったのが、加藤親雄さん。ニコニコとした笑顔で「入んなよ」と、私たちを迎えてくれました。

カメラマンを見て、「かっこいい写真を撮ってほしいから」とわざわざ着替えて出てきてくれた姿を収めたのが、こちらの写真。

加藤さんはべてるの家の立ち上げ時からの当事者メンバーであり、べてるまつりの実行委員長でもある早坂潔さんと同じ、元祖べてるの家で暮らしています。潔さんとは「仲間というよりも友達」だそうで、タバコを預かっておいてあげたり、お互いの分もついでに買い物に行ったりし合っている関係なのだとか。和やかな関係性は二人の会話の雰囲気からも感じられました。

どうでしたか?べてるの家に行ってみたくなりましたか?

べてるの家にはまだまだ紹介し切れなかった魅力が本当にたくさん溢れているんです。ぜひsoarのべてるの家の取材の記事をたくさん読んでもらって、興味を持った方は見学に訪れたり、べてるまつりへの参加もしてみてくださいね。

ただ、べてるの家を訪ねた人の多くはべてるの家の空気に感染してしまうそうなので、ご注意を。「べてるウイルス」といって、べてるの家に早く戻りたくなってしまったり、やる気が湧いてこない瞬間があったりと、色々な症状が出るそうですよ!

soar取材チームもすっかりべてるウイルスにやられていて、早くももう一度訪れたいと言う思いがふつふつと湧き上がっています…。でも、すぐに浦河の町に行くことはできなくても、べてるの家から学んだたくさんのことを、まずは今いる場所から発信できたら良いなと思っています。

Written by 松本綾香/soar編集部
Photo by 田島寛久
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